歯科クリニック経営の特徴について

 歯科医院経営を収入の面から分析してみると、歯科クリニック・医院の場合は一般的に、保険点数が他の診療科目と比較して低いために、保険診療収入の割合が低くなる傾向にあります。その反面、全収入のうち、自由診療収入に占める割合は他の診療科目と比較して高くなっている点に特徴がみられます。

 一方で原価の割合に目を移してみると、収入の割合に比例するように、保険診療収入に対する原価率よりも自由診療収入に対する原価率の方が高くなっていることがあります。

 この点に留意しながら病院経営を強化していくために、まずは財務状況をよく院長が把握する必要があります。財務状況を把握するためには、正確な会計帳簿の作成から始めなければなりません。

 

歯科クリニックの損益分析

 正確な会計帳簿の作成ができたら、実際に貴院の損益を分析してみましょう。

会計帳簿の損益計算書を次の項目に分けていきます。

@医業収入【売上高】

A医業原価【変動費】

B人件費、一般管理費【固定費】

@医業収入の内訳項目

【売上高】

A医業原価の内訳項目

【変動費】

B人件費、一般管理費の内訳項目

【固定費】

・保険診療収入

・自由診療収入

・その他の収入

・医薬品費

・診療材料、医療消耗器具備品費

・外注費等

 

・給与、賞与、法定福利費、福利厚生費

・交通費、賃借料、諸会費、通信費、

接待交際費、リース料、図書研究費、

支払保険料、消耗品費、減価償却費、

租税公課、広告宣伝費、水道光熱費、

その他

 

 

限界利益率を求める

 会計帳簿に記録された、収入と経費を上記のように売上高、変動費、固定費に振り分け限界利益率を求めるてみます。

 限界利益率とは、売上が増加した時、どれだけの部分が利益に結びつくかという比率で、限界利益(売上高−変動費)を売上高で除して求めます。変動費は売上高の増減に歩調を合わせるように増減しますので、限界利益率(売上高に対する変動費の割合)を把握することで、限界利益を求めることができます。

【金額例】

売上高;25,000,000円

変動費;3,750,000円

固定費;13,750,000円

 

限界利益;25,000,000円−3,750,000円=21,250,000円

限界利益率;21,250,000円÷25,000,000×100=85%

 

ex)売上高35,000,000円だった場合の変動費の金額

35,000,000円×85%=29,750,000円(限界利益)

(変動費;35,000,000円−29,750,000円=5,250,000)

 

損益分岐点を求める

 損益分岐点とは、売上高とそれ以外の費用の差額がゼロとなる金額で、固定費を限界利益率で除して求めることができます。

 

損益分岐点;13,750,000円(固定費)÷85%=16,176,470円

つまり、売上高が16,176,470円を下回ると赤字ということになります。

【検証】

売上高;16,176,470円

固定費;13,750,000円

 

限界利益率85%から限界利益(売上高−変動費)を求めます。

16,176,470円×85%≒13,750,000(限界利益)

限界利益−固定費はゼロとなります。

 この算式を使用して目標とする利益(最終的に手元に残る金額)を得るために必要な売上高を逆算出することが可能です。

  

ex)最終的に10,000,000円の利益(手元残)を目標とする場合

13,750,000円(固定費)+10,000,000(最終利益)÷85%(限界利益率)≒27,941,176円

よってこの場合の売上の目標値は27,941,176円とすればよいことになります。

 

損益分析イメージ.jpg

 

 このように、会計帳簿より損益を分析することで、経営の目標となる数値が立ちますのでそれに向けての事業戦略や経営改善対策を講じることが可能となるのです。

業界平均値のデータ

    限界利益率
無床診療所 全医院平均 80.5%
黒字医院平均 80.6%
歯科診療所 全医院平均 83.7%
黒字医院平均 84.2%

【出典:TKC経営指標 平成23年版】

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